盤の材料(2)

目次

電気のおさらい(1)

  1.電気と磁気、電界と力

  2.皮相電力、有効電力、無効電力、力率

  3.電磁的平衡

  4.電磁誘導とうず電流、ヒステリシス損

  5.発電

  6.交流の波高値、平均値、実効値

  7.電気の単位

  8.単位に付ける倍数

  9.温度

  10.導体、半導体、絶縁体

電気のおさらい(2)

  11.抵抗器(レジスタ)

  12.コンデンサ(キャパシタ)

  13.コイル(インダクタ)

  14.相と線(交流の場合)

  15.発電、送電、配電

  16.電圧の区分

  17.電圧降下

電気のおさらい(3)

  21.変圧器の原理と分類

  22.三相変圧器と単相変圧器の構造の違い

  23.変圧器の定格容量

  24.変圧器の並列接続(並行運転)

  25.変圧器の直列接続

  26.単相変圧器の三相接続

  27.変圧器の電圧変動率

  28.計器用変成器

  29.交流モーターの特性

電気のおさらい(4)

  31.ダイオードと整流器

  32.整流回路

  33.トランジスタ

  34.サイリスタ

  35.トライアック

  36.光制御素子

  37.表示灯

  38.論理記号、論理式とシーケンス

  39.2進数、2進化16進、2進化10進数

一般知識(1)

  41.ビルの電気設備

  42.単線接続図(スケルトン:Skeleton Diagram)

  43.電気シンボル

  44.盤の種類

一般知識(2)

  51.操作、表示器具の方向および色と配列

  52.器具の取り付け方向

  53.絶縁距離

  54.絶縁保護板とアークスペース

  55.電線と器具端子の接続

  56.相配列

  57.相色別

一般知識(3)

  61.導体の許容電流はどのようにして決められるか

  62.電線の並列接続

  63.電線サイズとガタースペース

  64.ねじ

一般知識(4)

  71.アンカーボルトの種類

  72.吊りボルト(アイボルト)

  73.板金

  74.メッキ

  75.塗装

電路・負荷保護(1)

  81.電線路の保護(電線路:電線、ケーブルなど)

  82.モーター保護(交流誘導電動機)

  83.漏電保護

  84.制御回路の保護

電路・負荷保護(2)

  91.低圧幹線の過電流保護器の施設

  92.モーター保護

  93.電動機の主幹ブレーカー容量

  94.電動機回路の配線

  95.三相交流モーターのスターデルタ始動

ノイズ、サージ電圧(低圧)対応機器

ノイズとは電気的な雑音のことで、電子機器の誤動作につながるためノイズ対策が必要である。

ここではノイズを軽減するための機器を紹介する。(配線のノイズ対策については「技術資料(1) 143.配線のノイズ対策」を参照)

・ノイズの周波数は電源周波数より高く、瞬間的なものから継続的なものまである。

  :信号と同相のノーマルモードノイズと非同相のコモンモードノイズがある。

・サージとは一瞬だけ発生する急峻な異常電圧を言う(瞬間的ノイズの原因にもなる)

・これらのノイズ機器はノイズ発生源のできるだけ近くへ設置し、配線はできるだけ短くすること。

(長い配線はインダクタンスが大きくなり効果が無くなる)


①サージキラー(スパークキラー)(AC100V、200V)

・サージキラーは下図の様にコンデンサと抵抗を直列にし、一体化したもので接点と並列またはコイルと並列に取り付けてサージ電圧を低減する。
・使用電圧とコイル電流で選択する必要がある。

②ノイズフィルタ(AC100V、200V)

・コイルとコンデンサを組み合わせて構成される。主に電源に使用される。

:コイルは周波数が高いほど交流を通しにくい→ブロックする効果

:コンデンサは周波数が高いほど交流が通り易い→バイパスする効果

・ノイズ周波数に応じたフィルタを選定する必要がある。

・ノイズフィルタへの配線は1次側と2次側を分離して配線する。

・普通は、アース線(端子)のある側が電源側(ノイズを含む側)

③バリスタ(商品名:ゼットラップなど:非直線抵抗)(AC100V、200V)

・バリスタは、加わる電圧が一定値を越えたとき抵抗が急激に小さくなる性質がある。

:コイルなどから発生するサージ電圧を吸収する。

・連続して使用可能な電圧、抵抗が急激に減少する電圧、制限可能な電圧などの定格が

あり、回路電圧や保護すべき機器の電圧などによって選定する。

・サージ電流の大きさによってワット数が決められる。


④ダイオード(ダイオードと整流器 参照)(DC回路のみ

・コイルと並列に接続してコイルの逆起電力をダイオード経由でコイルに消費させ、

異常電圧を抑制する。電流容量はコイルの励磁電流以上が必要。

ただし、この方法では復帰時間がやや長くなるため注意が必要である


⑤低圧アレスタ(AC、DC)

・放電管またはエアギャップ(空隙)と抵抗を組み合わせたもので、電源回路の

サージや、外来サージを吸収するため電源部に設置される。


⑥リングコア(リングフェライトコア)

・回路の誘導性リアクタンスを増加させ電線に乗ったノイズのの進入、放出を防止する。

・電線を貫通し巻きつける(1本又は1回路)

 :巻回数は用途とコアによって異なるためカタログを参照すること。

  (多くても少なくても駄目)

・直列に何個も入れる場合がある。


⑦その他

・ツェナーダイオードや白熱電球を用いたものもある。

※空隙を持った構造のアレスタを除けば、ほとんどのノイズ防止機器には洩れ電流が存在する。洩れ電流によって誤動作が発生する場合があるので注意が必要である。

配電盤・制御盤の盤内低圧配線用電線

・盤に用いる電線は、主に IV 又は HIV を用いる(KIVも可)。近年はEM-IE 600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線なども用いられる。 ただし、他の電線でも使用回路電圧とJEM1460の耐電圧をクリアできれば使用可能である。

・原則として制御回路は1.25mm²、計器用変成器2次回路は2mm²以上を用いる。

・接地回路以外の電線被覆色は黄色とするが、IV、HIV以外の電線の場合は黒でも良い。

・接地回路電線の被覆の色は緑色(やむを得ず緑以外の電線を使用する場合は端部に緑の色別をする)

※公共建築工事標準仕様書では、緑又は緑/黄で良い。(黄色地に緑のスパイラル又は縦縞)

・シールド線 外被: 灰又は黒  絶縁被覆:単心は黒(特殊なものは白も可)2心は黒及び白

電線とケーブルの種類

名称記号規格仕様電圧サイズ
(mm²)
2種ビニル備考
単身ビニルコードVSFJISC3306300V0.5-2HVSF柔軟・安全
ビニル平形コードVFFJISC3306300V0.5-2HVFF柔軟・安全
通信機器用ビニル電線KVJCS*300V0.3-1.25H-KV機器内
600Vビニル絶縁電線
IVJISC3307600V0.9- 500HIV盤内・屋内
電気機器用
ビニル絶縁電線
KIVJISC3316600V0.75-14HKIV可撓性高い
軟質難燃性架橋
ポリエチレン電線
LMFC古河600V0.75-325日立MLFC
600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線EM-IEJISC3612600V0.9-500IVのエコタイプ
高圧機器内配線用
エチレンプロピレン電線
KIPJISC36116.6kV8-250

高圧機器内
高圧機器内配線用
架橋ポリエチレン電線
KICJISC36116.6kV8-250

高圧機器内
 
マイクロフォンコードMVVS JCS*500.2-0.5

弱電用
600Vビニル絶縁ビニル
シース丸型ケーブル
VVR
(VV)
JISC3342600V1C   2-1000
2C<  2-325

屋内配線
600Vビニル絶縁ビニル
シース平形ケーブル
VVF
(VV)
JISC3342
600V
1φ-3.2φ屋内配線
殆どが単線
架橋ポリエチレン絶縁
ビニルシースケーブル
CVJISC3605
JISC3606
600V
6.6kV
1C   2-1000
2C<  2-325
屋内配線
高圧:低圧
600Vポリエチレン絶縁
耐燃性ポリエチレンシースケーブル
EM-EEJCS600V
6.6kV
VV相当
エコタイプ
600V架橋ポリエチレン絶縁
耐燃性ポリエチレンシースケーブル
EM-CEJCS600V
6.6kV
CV相当
エコタイプ
制御用ビニル絶縁ビニル
シースケーブル
CVVJISC3401600V1.25-142-30C
制御用架橋ポリエチレン絶縁
耐燃性ポリエチレンシースケーブル
EM-CEEJCSCVV相当
エコタイプ
※JCS 日本電線工業会(JCMA)が定めた規格



注)*印 の使用電圧はあきらかではないが、試験電圧から推定した。

  ① 許容温度 
    ビニル60℃:二種ビニル ポリエチレン75℃:EPゴム80℃ 架橋ポリエチレン90℃

  ② 電線で使用される記号の意味(この記号が必ずこの意味という規定はない)

  ③LMFC(難燃性架橋ポリエチレン)とMLFC(商品名 難燃性ポリフレックスハロゲン化ポリエチレン)
   

これらは、同一品かどうか規格が無いため不明(架橋ポリエチレン系の電線らしい)


  ④サイズや電圧は参考(同一記号で他の電圧もあり、これ以外のサイズの電線もある)

※LMFCなどでは、エコ タイプ(処分時の環境保護に配慮したもの:記号E-□)がある。

  (今後、他の電線でも エコ タイプが推奨されるものと思われる)


※上記の規格の他、国際規格IECとの整合を取った規格も増えてきている。これらの規格の前文などにIECとの整合について記載がある。


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