技術資料(2)
銅帯などの展開長さ
板を曲げた場合、板厚、曲げ半径によって展開長さが変化する。
本来は板厚の中心線の長さが展開長さになるはずであるが、実際には曲げ部分の厚みが減少し、中心線は内側に偏ってくる。
この中心(伸びも縮みも無い面)を中立面と呼ぶ。


◎中心線の長さ = A + B + 曲げ部分の弧の長さ
曲げ部分の弧の長さ = 2π(r+λ・t)(θ/360)
θ:シータ λ:ラムダ と読む
・λには様々な説がある。例を下表に示す。

1) r/t は 曲げ半径 割る 板厚 2)引用元はいずれもHPで調査した。

・展開長さと曲げ位置の計算例


R1:曲げ部分の長さ
R2:曲げ部分の長さ
L = A+B+C+R1+R2
t=4、λ=0.25のとき 上表からR1、R2は 1.6 mm したがって展開長さは L= A+B+C+1.6+1.6
電気機器端子の締め付けトルク
電気機器の端子ネジの締め付け力は一定の決まりがある。
ねじの締め付け力は主に次の条件を満たすことが必要である。
①ねじが緩まない締め付け力以上であること。 :振動の有無が大きく影響する。
②ネジの締め付け力によってネジ材、ナットやねじの座面などに永久変形を起こさないこと。
(最大応力以内であることが望ましい)
③通電接続部であれば、接触面に確実な接続圧力が保たれること。
(ただし、接触面に必要な圧力はそれほど高くなくても良いので、①②の条件が満たされればほとんど問題ない)
次に各規格やメーカーの推奨値を示す。
単位(N・m)

※ 1.( )内はドライバ以外の方法で締め付ける場合
2.配線用遮断器、漏電遮断器の温度試験では、この表の2 /3で締め付けて試験する。
3.部分は他のと比較して値が小さいが、電磁接触器などと異なり振動でゆるむおそれが無いためと思われる。
4.上表でも解るように規格自体でも同じ値ではなく、メーカー各社の値も異なっている。
器具によって必要な締め付けトルクが異なるので、使用する器具メーカーの推奨値で締め付けるべきである。
トルク(回転力)って何? ニュートンメートルを身近な単位で理解しよう
※ トルクの単位 N・m とは 1mの腕木の端に1N(ニュートン)の力が加わったときの回転力である。

N・mでは、実感が湧かないので従来の単位である重さと腕の長さでで考えて見ると良い。
回転力(トルク) =重さ×腕の長さである。
・1kg・mならば 重さ1kgが1mの腕木の端に掛かる。
・1kg・cm では重さ 1kg が 1cmの腕木の端に掛かる。
※3kgで腕の長さ2cmならば重さ掛ける長さだから
3kg×2cm = 6kg・cm になる。
・N(ニュートン)とkg(キログラム)の関係(標準加速度状態)
9.8N = 1kg 1N = 0.102kg
(正しくは重さと加速度で 1N=1kg・m / s2 である。加速度9.8m/sec2を掛けると上式になる)
・m(メートル)とcmの関係は 1m=100 cm 従って 1N・mをkg・cmに変換すると
1N・m = 1N/9.8 ×100 cm =10.2 kg・cm である。
概算では 10N=1kg・cm としても良い。
参考)
※物理単位で□・△ の場合は □×△ の意味である。
同様に □/△ とある場合は □を△で割った値になる(例:km/h:1時間に何キロメートル)
※従来は力と重さの区別がなかったが、重さは場所によって異なるため、国際単位(SI:System
International d’Unaite’s:仏語)で1960年から「質量」を「kg」「力」が「N」に分けられた。
盤内温度
全ての電気機器は電流によって熱を発生するため、盤内の空気温度が上昇する。温度が上がりすぎた場合は機器の
正常な動作ができなくなったり(最悪は焼損する)寿命が短くなってしまう。
低圧盤では開閉器類だけの場合は盤外の温度に比べて5℃~10℃の温度上昇に過ぎず、それほど問題にならないが、
インバータなどの半導体機器は損失が大きく(発熱量が多い)盤内温度を下げる手段が必要になる場合もある。
下記に発熱と放熱の概念を示す。

※冷凍式以外の冷却では周囲温度より盤内温度を低くする事はできない。
※機械換気で温度上昇を抑えるものは、温度上昇または換気装置故障で警報を出す必要がある。
※防塵型に使用する冷却機には次の2種類がある。
①電子冷却機、コンプレッサ式クーラー
・盤内を冷却する→かなり高価
・機械的磨耗による寿命に注意が必要
②伝熱放熱型
・盤内の熱を伝熱体を通じて外部へ放熱する→高価
ゼーベック効果とベルチェ効果

・左図の様に二種類の金属を接続し接続点に温度差を与えると起電力が発生して電流が流れる現象を「ゼーベック効果」と言う。
これを利用したものに温度測定用の「熱電対」がある。
・これとは逆に、電流を流すと、一方の接続点が熱を発生し、他方が熱を吸収する現象を「ペルチェ効果」と言う。
半導体の中にはペルチェ効果の大きいものがあり、これを利用した冷却素子が実用化されている(電子冷却器)
[ゼーベック:1821 ドイツ ペルチェ:1834 フランス]
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