定格
・定格とは器具が正常に使用しうる範囲を定めたものである。
・器具の種類に応じて各種の定格があり、また器具の付属品には本体とは異なる定格がある。
①電圧 定格電圧、絶縁電圧、操作電圧、逆電圧など。
②電流 定格電流、使用電流、投入容量、遮断電流など。
③相数 主接点極数、保護素子数など。
④周波数 AC、DC、50Hz、60Hz専用、両用など。
⑤周囲温度 使用温度範囲など。
⑥時間 動作時間、復帰時間など。
⑦その他 漏れ電流、振動、衝撃など。
※この他にも多くの定格がある。機器のカタログを詳しく読む癖をつけて欲しい。
MCCB、電磁開閉器、タイマ、リレーの選定、使用時の注意
MCCB、電磁開閉器、タイマ、リレーなどには共通した部分が多く、それらの特性を知って部品を選定する必要がある。
①接点部
・開閉用か遮断用か
:遮断用のものは開閉回数が多いと壊れやすく、開閉用の接点は遮断が出来ない。
・ACかDCか(DCは遮断しにくい)
:カタログにDC定格が記載されていない場合はAC専用である事が多い。
・DCの場合は極性が指定されているものがある。
例)オムロン MM□X 型など。
:電磁開閉器やリレーでは接点を直列に接続して使用する場合がある。
・弱電/強電(最小適用限界値を記載しているメーカーもある)
:弱電ではツイン接点(双接点)でないと接触不良を起こしやすいがツイン接点は強電では使用できないことが多い。
②操作電源(電磁石)
・ACかDCか :AC/DCの両方で使用できるものは少ない。
・DCの場合、コイルに極性のあるものがある。
:永久磁石を使用したもの。
:ダイオード内蔵、LED内蔵など。
※直流用でもリップル(脈動)が多い回路では使用できない事がある。
(単相半波はほとんどダメ、単相全波は注意が必要、3相全波はOK)
・コイルに加わる電圧が変動する場合(モーター始動時や遠隔操作、操作電圧変動など)は、
動作電圧、復帰電圧、最大許容電圧に注意すること。
この範囲外で使用すると、動作異常、唸り、振動、焼損などが発生することがある。
※カタログ上で動作電圧85%以下とある場合、この電圧以上であれば、
リレーが動作し唸りや振動を発生せずに正常に使用できることを意味している。
リレーのタイプや製造上のばらつきで、実際に動作する電圧は個々のリレーで異なる。
※カタログ上で復帰電圧10%以上とある場合も、電圧がここまで低下すれば、
リレーが復帰することを意味する。
リレーのタイプやバラツキで復帰する電圧は個々のリレーで異なる。
:一般に、リレーなどの電磁石は動作するときは高い電圧を必要とし、動作してしまうと低い電圧でないと復帰しない。
:電磁弁(電磁石で動かすバルブ)もリレーなどと同様の特性を持つ。
・コイルを励磁した時の動作
※コイルに電圧を加えることを「励磁」という。
:瞬時励磁型 :励磁したとき動作し、動作後無励磁にする。
・機械的保持型:励磁した後は機械的に動作状態を保持し続ける。
・ON/OFFそれぞれのコイルがあるもの。
例)投入コイル、引き外しコイルなど。
・同一コイルで極性を変えて励磁する事でON又はOFFするもの。
例)リレーではキープリレーなど。
・瞬時だけ動作すればすむもの。
例)電圧引き外しコイルなど。
:常時励磁、無励磁動作型(無励磁になったとき動作)
例)無電圧引き外しコイル
:常時励磁型 :励磁した時ONし無励磁でOFFする。
例)リレーなど
:ラチェット型:励磁するたびにON、OFFを繰り返す。
2個の接点がON、OFFが逆になる様に組み合わせてある。
例)ラチェットリレー
③タイマー(遅延継電器)の動作
様々な種類があるが次に、主なものを示す。
※オンディレーとオフディレーは選定時に誤りやすいので注意が必要。
・オンディレー:励磁された状態で、設定時間後にONし無励磁で直ちにOFFする。
・オフディレー:励磁すると直ちに動作し、無励磁になれば設定時間後にOFFする。
・フリッカ :励磁されている間中ON、OFFを繰り返し、無励磁でOFFする。
※タイマは制御電源と制御信号が別のものもある。
④短絡、過負荷検出部(配線用遮断器、電磁開閉器の熱動継電器などの内部にある)
※短絡などの大電流は電磁的に、過負荷は熱的または電磁的に検出される。
・AC用とDC用は共用できない場合が多い。
:過負荷検出(熱動式と電磁式):MCCB、ELB、CP、サーマル、過電流継電器
・熱動式ではACでもDCでも同一電流で動作するはずであるが、DCではリップルが多いと、実効値で発熱するためミストリップに注意が必要である。
・電磁式のAC用にDCを流した場合ACの110~140%でないと動作しない。
:短絡検出(電磁式):MCCB、ELB、CP、過電流継電器
・交流では波高値で動作するため、これをDCで使用した場合は引き外し動作電流がACの140 % 程度になる。
(リップルが大きい場合を除く)
・小型のものでは短絡と過負荷検出を兼ねた機構(完全電磁式)のものが多い。
例)安全ブレーカー
・限流ブレーカーなどでは短絡時の電磁反発力で自動遮断する機構を持つ。
・大型のものや電子式では電流値と時間を設定できるものもある。
⑤その他
・ELBは内部に漏電検出回路があるため極数、配電方式と定格電圧で異なってくる。
・MCCBには負荷の種類にあわせた専用品がある(モーター、溶接機、変圧器1次など)
・MCCB、ELBには分電盤専用品がある(規格寸法の協約型)
・ヒューズに関してはあまり使われなくなったので、省略する。
※ただし、制御回路用として多く使用されるガラス管に入ったヒューズは遮断容量が不明な物が多く注意が必要である。
(消弧剤入りで遮断容量が明確なヒューズを使用することが望ましい)
・ELBや安全ブレーカーで定格電圧を110/220などと記載している物があるが、単相3線には使用できるが3相3線には使用できないものもあるので注意すること(単相3線は大地間電圧100V-110V、線間電圧200-220V)
これらはカタログでもまぎらわしい表示をしている場合が多いので、不明な場合はメーカーに問合わせる必要がある。
配電盤用計器(アナログ計器)
・配電盤、制御盤で使用される計器の内、一般的なものを示す。JIS規格あり。
①表示形状
普通型 | 目盛が180度より狭い | 60、80、100、120、150角 |
広角度型 | 目盛が180度より広い | 80、110角 |
②種類、用途
名称 | 用途・記事 | 付属機器 |
直流電圧計 | 可動コイル形 | 倍率器 |
直流電流計 | 可動コイル形 | 分流器 |
交流電圧計 | 可動鉄片形 | VT |
交流電流計 | 可動鉄片形(延長目盛もある) | CT |
電力計 | | VT、CT |
無効電力計 | | VT、CT |
最大需要電力計 | 使用電力の最大値を表す | VT、CT |
力率計 | 平衡形、不平衡形 | VT、CT |
周波数計 | 振動片形、指針形 | VT |
電力量計 | | VT、CT |
無効電力量計 | | VT、CT |
注) 1.分流器から計器までの配線は「分流器に付属」又は指定抵抗値を持つ電線を使用する事。
2.計器には別置きの付属箱がつく場合があるため、カタログで確認する事。
(倍率器、整流器箱、インピーダンス箱、トランスデューサなど)
3.CT、VTを使用する計器はCT、PTの変成比が変わった場合は、計器も交換する必要がある。
ただし、力率計、周波数計など変成比に関係のないものを除く。
4.電流計が盤の扉に付く場合は、渡り線の太さを考えて電流計が20A以上の時は、CT付きとする場合が多い。
③電力量計(無効電力量計)
・円盤の回転を歯車によって減速し数字(4-5桁)を表示する構造である。
・数字の桁数が一定であるため、定格電力の大きさに応じて歯車と小数点位置を変えるだけでは表示できないため、
「乗率」が表示されている。
*乗率は×10、×100 等で表す( 10 のべき乗でないものもある)
電力量=「表示数値」×「乗率」
例)0030.3 kWh × 乗率100=3,030kWh
ただし、VT、CTの付かない形式のものは乗率が無い(乗率×1)
※CT、VTを使用した電力量計の場合、CTまたはPTの変成比を見込んで正しい値を計器に表示する様に作られて
いるため、VT、CTの変成比が変わった場合は、内部の歯車の交換や、乗率を変更する必要がある。
◎取引用の電力量計はVT、CTと組み合わせて試験する「検定」付きを用いる。
電圧計、電流計切替スイッチ(開閉器)
①電圧計切替スイッチ(VS)とT.T(チェックターミナル)
・電圧計切替スイッチは各線間電圧を1個の電圧計で表示するために使用する。
・TT(VTT)はテスト用の端子である。
※VSの接続方法はメーカーによって異なる。
※VT二次回路のT.T(チェックターミナル)は、計器側とVT側を分離できる構造のものが望ましい。
(誤ってVT二次側に電圧を加えるとVT一次に高圧が発生する)
※他の電圧回路はVTTの計器側から分岐する。
②電流計切替スイッチとCTT
・電流計切替スイッチは各 線電流を1個の電流計で表示するために使用される。
・T.T(CTT)はCTとテストのため回路を分離したり、計測したりするためのもの。
※ASの接続方法は各メーカーで異なる。
※ASの内部ではCT二次側を瞬時であっても開放しないような接点が用いられる。
※CT用のTT(CTT)は上図 …… の様に各線間を短絡できる構造をもっている。
(テストプラグ挿入時自動的に線間を短絡する構造のものもある)
◎VT、CT二次の継電器などの試験を行う場合は、主回路を無電圧にし、安全を確保してから行うこと。
測定目的で主回路が生きている場合(通電中)にTTを用いる事があるが、
保護装置の誤動作や動作不能に注意し、CT二次側を開放しないよう充分注意する必要がある。
※電源と負荷を分離するタイプのT.Tは、1次と2次があるため接続に注意が必要。
※VT用とCT回路用のT.Tを間違えないようにする事。
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