一般知識(2)
操作、表示器具の方向および色と配列
操作する方向や押釦スイッチ、表示灯などの色と並べ方には決まりがある。
①規格 JIS (205項参照)
1)操作の方向と配置
・次の方向に操作したとき、結果が増大する。
操作方向と配置 上 右 奥 右回り(時計回り)
※操作の例外 ・押引きボタンは取り付け面に対して引く方向が増加方向
・手前に引くレバーの場合は引く方向が上昇
結果 始動、加速、高速、弁開、電気回路の閉、自動、進行、上昇、点火
2)操作部の色
非常停止 赤
ON 白(灰)、黒、緑・・・・赤は使用しない
OFF 黒、白(灰)、赤・・・・緑は使用しない・・非常停止を兼ねる時は赤
リセット 青、白(灰)、黒
②一般的な色の例
運転 | 停止 | 故障 | 電源表示 | 故障復帰 | ランプテスト | |
表示灯 | 赤 | 緑 | 黄 | |||
押釦 | 白 ( 緑 ) | 黒 ( 赤 ) | 黄 | |||
照光式押釦 |
※照光式押釦の場合は消灯時の表面の色によって点灯時の色が決まることが多い。
・消灯時白で点灯時に色がつくものでは点灯時は表示灯と同じ色
・消灯時も色が付いているものでは押釦と同じ色
◆設備や客先によって変わるため、充分な打合せが必要になる。
※プラント、機械盤などでは運転停止の表示灯色が 運転(緑) 停止(赤) が多い。
※プラント関係、機械装置、ビルでは規定がまったくと言っていいほど異なる。
(事前に仕様書で、しっかり確認しておく必要がある)
※また、古い盤と現在の盤では、ボタンや表示灯の色が設置場所ごとに違っていることがある為、確認が必要になる。
(古いビルではONボタンが赤、OFFボタンが緑の場合もある)
③ボタンの配置 規格あり(205項参照)

※1.数字1,2,3は上又は右から配置する。
2.停止、非常停止が同一形状の場合非常停止が「赤」、停止は赤以外とする。
器具の取り付け方向
・ほとんどの電気機器には、定められた(許される)取り付け方向がある。
・取付け方向が変化すると動作電流、時間、温度などの影響で、定格値を保証できない可能性がある。
1)重力の影響
・機械的動作部が影響を受ける。
・可動鉄心の動作方向:電磁接触器、リレー類
・液体の傾き:水銀スイッチなど。
・摩擦の変化:計器、保護継電器
2)熱の影響(放熱、伝熱)
※自然冷却の場合は空気が下から上に流れる。
・冷却フィン(溝が上下方向に向くようにする)
・下の熱が上に伝わりやすい
・電流検出のバイメタル部:MCCB、熱動継電器(サーマル)
・オイルの粘度変化
:MCCBやタイマは種類によってはオイルの中をプランジャが移動することで動作時間を制御しているものがある。
これらは動作時間が低温では長くなり、高温では短くなる。
3)規格上の制限
上から下へ 左から右へ 手前から奥へ 電源側、接地側など
・主な器具の取り付け方向
①MCCB、MGS、電磁接触器型のリレー
壁面または上向きに配置する (たいていは左横向きもOK)
*分電盤専用のMCCB、MGSなどでは左右無関係のものがある。
②小型のリレー、タイマは、ほとんどの物が全方向可能である。
ただし、水銀を封入したタイプは、それぞれのカタログによる。
③コンセント

2極 接地極を左側
2極+E E極を下側
3極 S相(真ん中の極)を下側
3極+E E極を下側
※まぎらわしい配置を持つコンセントの接地極を左図に示す。
(JIS参照)
※接地極は L型 U型の断面のものが多くLU型混在ではU型が接地極
※接地極は、他の極と比べて幅が広いか、断面がL字型、U字型である。
(例外的に、3極で幅の狭い接地極もある)
絶縁距離
充電部と充電部の間、または充電部と接地部の間は規定以上の距離をとる必要がある。
※充電部(電圧が加わっている部分) ※接地部(筐体、金属製保護板、金属部などの電圧が加わってはならない部分)
①沿面距離/空間距離

※絶縁距離
電流が流れ得る最短距離
(絶縁物に沿った距離か空中)
②対地間/相間/極間の定義
対地間 充電部と大地の間
相 間 電位差のある充電部と充電部の間(例:R相とS相の間)
極 間 スイッチなどがOFF状態の時、接点の一次充電部と二次充電部間
※規格は JIS 参照(205項参照)
③低圧盤では次のような規定がある (MCCB、コンタクタ、端子台、制御器具などの器具を除く)
300V以下 沿面、空間とも 10mm :JISC8480 キャビネット形分電盤
300V超過 沿面、空間とも 20mm :JISC4620 キュービクル式高圧受電設備
注)ネジ2本止め又は振れ止めが無い場合は、ターミナルラグがそれぞれ30°傾いた状態でも、規定値以上であること。
但し、0.5mm厚以上の絶縁キャップなどで絶縁する場合は2mm以上とする。
④高圧盤(6,600V)の絶縁距離 :JISC4620 キュービクル式高圧受電設備」 参照
絶縁保護板とアークスペース

・絶縁保護板にはアクリル、硬質塩ビなどが用いられるが、アクリルは可燃性
である為、難燃性(自己消炎性)の硬質塩ビが適している。
・不透明でもよい場合はフェノール樹脂板などのプラスチック板も用いられる。
(フェノール樹脂は難燃性である)
・絶縁保護板を支持する部材が金属の場合は、ブレーカーが遮断した時、放出
するアークによって地絡が発生しないように、絶縁処理を施すか、充分に
距離を取る必要がある(左図参照)
また、前項の絶縁距離を満足する必要がある。導体間に金属ポストを立てる
場合は、たいてい絶縁距離が不足するためポストに絶縁を施す必要がある。
・この距離の規定はメーカーやブレーカーの定格電流および遮断容量で異なり、
対象が金属板か充電部かによっても異なるため、MCCBメーカーの
カタログを参照する必要がある。
電線と器具端子の接続(内線規定3102-6)
下記は屋内配線などの規定であるが盤でも参考にできる。
①振動で緩むおそれのある場所では「二重ナット」「ばね座金」またはネジのゆるみ止め機構のあるものを用いる事。
②電線を1本しか接続できない構造の端子には2本以上の電線を接続しない事。
③電線に張力が加わらないように施設すること。
④3.2φ又は5.5Sqを超える電線はターミナルラグを使用する事。
(ターミナルラグ:圧着端子、圧縮端子、銅管端子などの接続金物)
ただし 下記を除く
・押しねじ型、クランプ型などのターミナルラグを必要としない端子
・器具の容量が30A以下であって5.5Sqを超える電線の素線を器具の容量に合わせ、減線して接続する場合
(減線:太い電線を器具の容量に合った断面積まで素線を切る処理)
⑤撚り線でターミナルラグを取り付けない場合は、素線が乱れないよう心線の先端にのみろう付けを施すこと。
ただし 下記を除く
・押しねじ型、クランプ型などのターミナルラグを必要としない端子に接続する時
・電線に軟銅管を使用する場合
※ネジの締め付け部には、ろう付け(金属を溶かして接合する)をしないのが良い。
(ろう付けには:はんだ等の軟ろう、銅ろう、銀ろうなどの硬ろうがある)
※内線規定には、規定のほか「推奨」「勧告」の条項があるため注意する必要がある。
相配列 :詳細はJEM1134による(JEM:日本電機工業会規格)
主回路の電線や銅帯の並べ方には決まりがある。
◎ 原則として 操作、メンテナンスする面に向かって
(背面の相配列は「盤正面を基準とする透視配列」と「保守点検方向基準」がある。
◎ 左から右へ 上から下へ 手前から 奥へ の順に配置する
・三相回路 第1相 第2相 第3相 中性相 (通常:RST、UVW、XYZ)
・単相回路 第1相 第2相 第3相 中性相 (通常:RST、UVW、XYZ)
・直流 P(+) N(-) ※ただし、左右の場合のみ N P の順
相色別
導体の相を区別するために導体を色別する事が多い。以下にその例を示す。
相識別は主回路電線の相を表示するための色別で指定により全部または端部、一部に施す。

注) 1.JEM 日本電機工業会
官庁 各官庁の共通規格 「公共建築工事標準仕様書(平成16年版)電気設備工事編」 ※公社、独立行政法人を含む。
・単相2線で第2相が接地相のとき、第1相は黒でも良い。(1黒、2白になる)
2.相の数字 1:第1相 2:接地されていない第2相 3:第3相
E2:接地された第2相 N:中性相(大概は接地されている)
3.3相から分岐した単相は接続元の相の色とする。例)白,青からの分岐であれば単相も白、青になる。
4.3相から分岐し単相変圧器の二次側の単相は通常の単相の相色別とする。
5.これらの規格を適用する場合は、当該年度の規格を入手して使用する必要がある。
6.官庁の統一仕様書は平成15年3月に統一に合意したもの。
7.AC210V回路では、三相3線式の第2相(S相)を接地するが、他の相を接地する場合もある。
8.規格、仕様は常に改正されるため、規格、仕様が指定されている場合は、指定年度の規格で確認する事。
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